好きなものが消えていく。

思考回路

好きな景色が消えていく。

隣町の公民館に、小さな図書館が併設されている。
いつも空いていて、絵本もたくさんあったから、
子供が小さいころよく行っていた。

というのは建前で。。。
本当は、そのロケーションが大好きなのです。
小高い丘の上から、一面の田畑を見下ろせる。
遮るものが何もない、素敵な場所。
子供が大きくなってからも、読み聞かせの絵本を借りた。

私にとって、そこは間違いなく

”パワースポット”だった。

「だった」というのは、今は違うから。
その近くには、高速道路が通り、
田畑には、高架が複雑に行きかい、
かつての風景は遮るものばかりになってしまった。

あの景色は、もう戻らないのだ。

好きなお店が消えていく。

いつも小麦粉などの製菓材料を買っていた
食材店が、今年閉店した。

プロ仕様のいいものを、安く売っていたから
通い詰めていた。
何度か、
マニアックな材料を置いてないか尋ねたことがあったのだが、
取り寄せてくれたり、
次に行った時は、その商品が入荷してることが何度かあって、
偶然かもしれないけれど、すごく嬉しかった。

客の小さな要望をないがしろにしない、
そういうお店は、ありそうで、ない。

次に来た時で、いっか!

存在している時は、次が来ない事なんて
想像もしないものだ。

愛用していた薄力粉は、
他の店では見た事がない、地元愛知県産。
最後に少し買いだめしたけど、
それももう使い切ってしまった。

そんな訳で、小麦粉をどこで買うか問題は
しばらく落ち着きそうもない・・・

農業が消えていく。

ずーっと当たり前に見ていた近所の景色が変わった。

車でほぼ毎日通る道沿いに田んぼがある。
毎年、桜が散ってGWごろになると、
水を張った水田に小さな稲が頼りなく揺れていた。

それとなく成長を見ては、季節を感じていた。

が、今年は
水を張られる事なく、草が伸び放題の状態。
こんな景色は、今まで見たことがない。

後継者の不足?
主が体調不良?
農地転用?
作っても赤字になるからバカバカしくてやめた?
減反しろ?

私には、本当の理由は知る由もない。
(小麦粉の心配ばっかりしてるのはどこのどいつだ!)

祖父母がお米農家だったから、
”田んぼ”の取り扱いについては、子供の頃から
たくさん聞かされてきた。

田んぼは、毎年お米を作らないとダメになる。
作れないなら誰かにお金を払って頼んででも
お米を作り続けなきゃいけない。
そうやって守らないとご先祖様に
申し訳が立たない。

おばあちゃん談

農業と縁のない人からすると、
農地とか、水田というのは田舎の象徴だったり、
だだっ広い価値の低い場所だと思ってしまう人も
いるかもしれない。
でも、一度、農地を別のモノに加工したら、
大げさではなく、
本当に、二度と農地には戻らないのです。

自分が猫の額ほどの畑をやって、
お店で見るような真っ直ぐで、肌のきれいな野菜を
作ることが、いかにすごいことなのか、
思い知らされる。
形が揃った綺麗な野菜は
コピーしたみたいに簡単に見えるけど、
そうではない。
ずっと理屈では分かっていたつもりだったけど、
自分で育てて、本当にその意味が分かる。

市場に卸される形のきれいな野菜の陰には、
きっと不揃いの規格外もあるだろう。

ちなみに、私は、
比較的きれいなもの、大きいなものを友達にあげて、
自分はとんでもない形の野菜ばかり食べたりしている。

農地転用も、この5年位でよく見かける。
畑だった場所に、配送センターが出来ているのが
この辺りは多い。

皆さんが住んでいる地域では、
農地がいつの間にか、消えてないでしょうか?
直接関係ないと思って興味すら持たない間にも、
どんどんひっそりと無くなっていく。

拡散希望!の現状。

農業系YouTubeをよく見る。
主に、野菜の育て方。
とても参考になる。

と同時に、ひろーい畑で、
ひたすら作業する彼らの姿を見て、
買った野菜も大事に食べないとダメだと
改めて思う。

少し前に、とある農家さんの動画を見て、
自分が最近見ている景色と重なった。


こちらは、熊本県の方々ですが、
もう、全国で同じような事が起こってると
そう思っています。
個人の工夫ややりくりで何とか出来る次元ではない。

私に、何ができるのだろうか?
何も出来ない。
出来そうなのは、取り敢えず、拡散!!!

って事で。

好きなものを消さない方法。

”老舗の和菓子屋○○年の歴史に幕
 別れを惜しむ客で長蛇の列”

時々見かけるこの類のネットニュース。

”そんなに惜しいなら、普段から買っとけよ!!!”

と突っ込まずにはいられない・・・
好きなモノ、無くなってほしくないモノには、
やっぱりそれなりにお金を落とす必要がある。
そう、思っている。

私には、絶対に無くなってほしくない
地元のケーキ屋さんがある。

何かお祝いがあったり、
娘が帰省した時には必ず買う。

コロナ禍で、イートインを辞めてしまい、
店頭販売だけになった。
心なしか、お休みの日も増えてる気がする。

無理をしないで週に1,2回開店するだけでも
最悪注文だけになってもいいから、
閉店だけはしないでほしいと、
心の底から願っている。

二度と食べられなくなる日が来るんじゃないかと、
毎回めっちゃ味わって食べています。

もうすぐ娘の誕生日だから、
買いに行く予定です。

好きなものが消えると分かったら、少し
その場所に行ったり、買ったり
別れを惜しむ時間もあるかもしれない。

でも、興味もなく別れも惜しまず、
後でこんなに大事だったんだーーーと
気が付くことが一番怖い。
日本の農業や酪農が本当に心配だ。

ついこの間までは、
新しくできる何かに、ワクワクして、
消えていくものに思いを馳せることは少なかった。
新しい何かの陰で何かが失われていく事に、
気が付きもしなかった。

私も、人生の折り返し地点を超えて、
いよいよ自分も消えていく側に
足を踏み入れたようだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました