人の背中を押さない。

思考回路

誰かを励ましつつ、背中を押してあげることは、
私の中ではずっと良い側の事だった。

自分は歳を取ってきて。
世の中の価値観が変わってきて。
そして、何よりも、
今まで知りもしなかった価値観を、
目にする、耳にすることが増えた。

日々、色々なニュースや記事に触れるうち、

家族、友達、自分の周りにいる近しい人に対し、
私は、とんでもない事を押し付けてきたのではないか、と
過去の言動を、考えたりする事がふえた。

最近、決定的にそう思った記事がある。

「成人式行くのやめました」 20歳男子学生の決断「後悔はない」 親には言えず…背景にコロナ禍の「孤独」(Hint-Pot) - Yahoo!ニュース
「成人式行くのやめました」――。20歳の男子学生のSNS投稿が注目を集めました。式典が執り行われた会場に足を運ぶことなく、自らチョイスした選択肢は、1人でカフェで過ごすこと。成人式不参加の背景には、

先日の成人式に参加しなかった、20歳男性のつぶやき。
参加しない人、出来ない人は意外とたくさんいるのかも
しれないけど、

親をがっかりさせないように、
出席したことにした。
というのが、シンプルに泣けてきた。

息子がスーツを着て嬉しそうな両親
成人式はどうだった?と聞くであろう両親

私も、全く同じことをしたし、
両親のお気持ちは痛いほど分かる。
でも、本人と親の心には、こんなにも
距離があるものなのか。

それが、成人した証というのなら、
この距離は喜ぶべき事なのに、複雑だ。

女の子は、成人式は着物という価値観が根強いので、
人によっては、成人式に参加する以前に、
もっと負担が大きいのかもしれない。

服装から「みんなが生きやすい世の中に」 “自分らしい”成人式に込めた思い (日テレNEWS) - Yahoo!ニュース
女性体型用のメンズスーツを手がけるKeuzesの代表・田中史緒里さん(28)が、東京・渋谷区で、新成人のためのイベント『SEIJIN-SHIKI』を開催しました。“自分らしい服装で大切な節目の日を楽

オトナの価値観に付き合わされる

長女の成人式の事を思い返してみる。

今思うと、

着物を着ることも、親の為。
成人式に参加するのも、”長女”としての務め。
着物の前撮りもやるべき事のひとつ。

成人式という一連のことすべてが、
親ほど重要ではなさそうだった。

着物選びに行った時も、
『親の務め』と、
『店員さんの期待』
を一手に引き受けて、
一生懸命選んでいたのかもしれない。

本当は、着物なんて面倒だし着なくてもいいけど、
そんな態度を見せたら、この場がしらけるーーーーと。

「楽しみですねー」「キレイですねー」

一様にニコニコし合うオトナを目の前に、
何を考えていたのか。

案の定、
成人式当日は、写真もほとんど撮らずに
式が終わったら真っ直ぐ迎えの車に飛び込んできた。

やるべき事はやった、って顔して。

自分も親に付き合っていた。

着物を着ることや、式に参加して友達と会う事を
楽しみにしている子もいるけど、
そんなのは、中高生時代がキラキラしていた子だけで、
楽しそうに見えて、暗黒時代だった子もいる。
私がそうだったように。

中高生の呪縛ってものすごくて、
現状、どれだけ立場が逆転していても、
その頃のカーストって不思議と保たれてて、
身構えてしまうし、会えば疲れる。

今、成人式に出なきゃいけないと言われたら、
私は絶対に行かない。
同窓会も行かない。
(時間が経てば経つほど
中高生時代の闇は深くなっている気がする)

自分だって、
本当に着物着なきゃダメなの?
写真撮らないとダメなの?
そう思っていた。

長女の気持ちが、少しは分かる要素を持っていたのに、
私は完全に親の価値観を押し付けたのだ。

20歳そこそこで、育ててくれた親に
本当の意味での感謝なんてしてた記憶はないし、
出来上がった着物の写真は、
普段しないメイクと不気味な微笑み
ただ、最悪な気持ちだった。

満足なのはオトナでしょ?!

娘に着物を用意して、成人式に行かせる。
親としてやるべき事をやった。
新成人とは、

親にそう思わせて、オトナの仲間入り。

なのでしょうか・・・

人の背中を押さない

成人式に限らず、

「行く・行かない」
「やる・やらない」
「辞める・辞めない」

自分の気持ちと一般的な常識が合わない時、
人は悩む。

「行ってみて初めて、行かなくて良かった事が
 分かるから、行った方がいいんじゃない?」

私は、長女にいつもそんな風に言っていた。
それらしい事をいって、
私の意思を存分に発揮しようとしていた。

春から就職する長女は、
卒業式、引越しなど多忙だ。

そもそも若い人は、背中を押さなくても、
自分でどんどん進んでいくし、
長女はまさにそのタイプだ。

家を出てだいぶ経ったこともあり、
よそ様の同年代の子より、
親の価値観が一番正しい、
なんて思わない、

「正しい娘」

に育ったのではないか。

なんて思っている。

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